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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>コミックガイド> 記事 コミックガイド ハチワンダイバー [著]柴田ヨクサル[掲載]2007年04月08日 妙なタイトルだが、題材は将棋である。主人公は、プロになりそこね、賭け将棋で糊口(ここう)を凌(しの)ぐ〈真剣師〉の青年。といっても、映画『王手』で赤井英和が演じた豪放磊落(ごうほうらいらく)な真剣師とはまるで違う。〈将棋以外能がない〉と自認する将棋オタクで、女のコと付き合ったこともなければ、手を握ったこともない。そんな彼の前に現れたのが〈アキバの受け師〉と呼ばれる女真剣師。彼女との出会いによって、男はさらにディープな真剣師の世界に足を踏み入れることになり……。 将棋、囲碁、麻雀(マージャン)など盤上の勝負を描いたマンガは少なくないが、主人公には大抵それなりにヒーロー的要素がある。ところが本作の主人公は、ルックスはサエないし、言動もマヌケで、無頼というよりニート風のダメ男。が、こと将棋に関しては滑稽(こっけい)なほどの執着を見せ、いざ勝負となると抜群の集中力で81マスの将棋盤の奥深く意識を潜らせる。この“将棋盤に潜る”という表現が、素人にも棋士の脳内感覚を疑似体験させる。持ち時間1分の早指し勝負など、独特のコマ運びで見せる将棋シーンは迫力満点。それでいて、伝説の老棋士と“あるモノ”を賭けて熱く戦うバカバカしくも童貞魂あふれる展開も。 そう、この童貞魂が本作のもうひとつの肝。真剣師としての主人公の成長とともに、なぜか出張メイドの仕事もするアキバの受け師に惚(ほ)れてしまった彼の“初恋”の行方も見逃せない。
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