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コミックガイド

環・水惑星年代記 [著]大石まさる

[掲載]2007年06月10日
[評者]山脇麻生

 先日、知人から“地図にない場所”があると聞いた。そこは、特殊な交通手段を用いなければ辿(たど)り着けない離島ではなく、日帰り出来る場所にあるという。日常から少し逸脱するだけで旅立てる冒険にはドキドキさせてくれる何かがある。子供の頃に見た原風景を彷彿(ほうふつ)させるのか、あの頃に感じた軽い高揚もつきまとう。

 どこか懐かしいそんな感覚を封じ込めた作品が「ヤングキングアワーズ」連載中の読み切り連作「水惑星年代記」シリーズ。本作は、その3作目にあたる。舞台は、地球と宇宙を繋(つな)ぐ「軌道エレベーター」のある近未来。というと本格的なSFを思い浮かべがちだが、水位の上昇した地球で暮らす人々の生活は、牧歌的ですらある。

 ここに登場するのは、それぞれの葛藤(かっとう)を胸に秘めながら地球を初めて宇宙から見た双子、月面基地で暮らす物理の専門家と考古学者の夫婦、航空宇宙校の受験を控えた中学生といった、年齢も職業もバラバラの人々。しかし、描かれている想(おも)いは共通して優しく、瑞々(みずみず)しい。まるで、彼らの想いそのものが、青い水球である地球を形作っているかのように。

 作画面では、ベタではなく、カケアミの濃淡が効果的に使用されているのが特徴的。これにより、全体的に柔らかい印象に。カラーページも多数収録されているが、それ以外のモノクロページにも青や緑といった爽(さわ)やかな色を感じる1冊である。

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