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コミックガイド

ファンタジウム [著]杉本亜未

[掲載]2007年07月01日
[評者]南信長

 カバーのイメージからして“天才少年が大人たちを相手にマジック勝負!”みたいなものを想像していたら、まるで違った。

 マジシャンだった祖父に憧(あこが)れながら、堅実なサラリーマンの道を選んだ男が、ある日、取引先のカジノで一人の少年と出会う。その見事なカードさばきを見て、男はマジシャンとしての少年の才能に気づく。実は、その少年は亡き祖父にマジック技を仕込まれていたのだ。奇妙な縁に戸惑いつつも、少年の才能を伸ばしたいとの思いに駆られる男。が、少年は年齢に似合わず、やけに達観していて……。

 ここで描かれているのは、生き方の選択、人生の意味についての問いかけだ。親子の愛憎、才能の有無、仕事と自己実現、自由と孤独といった誰もがぶつかる課題を、登場人物たちの境遇や心理に仮託して丁寧に描く。少年が、マジックの才能と裏腹に、ある種の障害を抱えていることも、ドラマに奥行きを与えている。

 男は少年の才能を〈きみ自身の人生や他人の人生まで変える力があるかもしれない〉と評する。そう言う男自身の人生が少年によって変わり始め、少年も男と出会ったことで人生の扉が開く。作者はあとがきで〈ライフ・イズ・マジック〉という言葉を引いているが、まさにその言葉どおりの作品。装丁は古臭いし、絵柄も地味だが、だまされたと思って読んでみれば、あなたの人生も変わる……かも!?

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