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度胸星 [作]山田芳裕

[掲載]2007年11月25日
[評者]南信長

 20××年、人類初の有人火星探査船が火星着陸に成功する。が、その直後、ある事件が発生し、通信途絶。半年後、調査および乗組員救出のための宇宙飛行士が全世界から選抜されることになる。元トラック運転手の主人公をはじめ、多彩な経歴と個性の人々が超難関の選抜試験に挑み……というのが物語の骨子。

 大胆な遠近法を持ち味とする作者が、本作では引き気味の構図と巧妙なカット割りで緊迫感を煽(あお)る。特に物語のカギを握る謎の多面体の無機質な怖さは画期的。映画『ライトスタッフ』の情熱、『2001年宇宙の旅』の哲学、『エイリアン』の恐怖を合わせたような、スケールの大きいSFサスペンスだ。

 しかし、残念ながら我々は、その結末を見ることはできない。いや、実を言えば、形式上は01年に完結した作品なのだ。が、そのラストは、あまりにも唐突で中途半端なものだった。理由は、当時の掲載誌の方針転換による打ち切り。それが今回、版元を変えて復刊されたのだが、広告で〈未完の大作〉と謳(うた)われていることからも、不本意な終わり方だったことがうかがえる。願わくば、本来の結末までを加筆し、完全版として出してほしかったが、作者としても一度切れた気持ちを再点火させるのは難しいのだろう。

 未完でも十分読み応えのある高密度な作品ではあるけれど、だからこそ、あの“打ち切り”が返す返すも口惜しい。

    ◇

 全4巻・各巻1200円。第1巻刊行中。ワイド版で復刊。

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