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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>コミックガイド> 記事 コミックガイド きのう何食べた? [作]よしながふみ[掲載]2007年12月02日 店で食事をしていても、隣のテーブルの人が何を食べているのか気になるほうだ。あんまりマジマジ見つめすぎて、気が付いたら自分も同じものを食べていることさえある。食べている人を見るのは楽しい。それが、愛(いと)しい人ならなおさらだろう。 本作に登場するのは、都内某所2LDKに住む弁護士の筧史朗と美容師の矢吹賢二。1カ月の食費は2万5000円。その範囲内で旬とあまからすっぱいのバランスを考え、手塩にかけて料理を作るのは史朗の役目。スーパーの特売品売り場や台所で、手間と工夫をこらして献立を考え、調理する。それを美味(おい)しく頂く役目の賢二と、今この瞬間の幸せにクールに浸る史朗。男2人暮らしの日常の息遣いを描いた淡々とした作品だが、その世界観は豊饒(ほうじょう)だ。特に史朗が調理の際に、自分の感覚のなかで手順を思い巡らす描写がいい。「そうすりゃ、もう一品できるのか」と、小難しい用語が並んだレシピ本を開くより、よっぽどひと手間かけて料理を作りたくなってくる。 実はこれって重要なことで、親が子どもに料理を教える時、分量をきっちり量ることより、こういう感覚を伝えていけば、食卓崩壊なんて物騒な熟語がマスコミを賑(にぎ)わす機会も減ったのでは、なんて気になってしまった。ま、堅苦しい話はさておき、今夜の夕食はどうしよう。「きのう何食べた?」と聞かれて、口ごもるような食事は避けたいな。 ◇ 「モーニング」に連載中。
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