ここから本文エリア

RSS

現在位置:asahi.com>BOOK>コミックガイド> 記事

コミックガイド

はこぶね白書 [作]藤野もやむ

[掲載]2008年01月20日
[評者]ササキバラ・ゴウ

 この作品の舞台は、人間の姿に化けた動物たちが、さらに人間に近づくために、集まって勉強をしている全寮制の高校だ。そんな奇妙な所へ、知らずに入学してしまった人間の主人公の学園生活が描かれる。

 周囲にいるのは、外見は人間でも実は動物ばかり。自分が人間であることを隠したまま、打ち解けられる相手がいない中で、不安な学園生活が過ぎていく。動物たちの方も、種族が違えばあまり仲がよくない。身近な他者にいつも気をつかい、関係を維持しようと苦労する日々が続く。

 誰か仲間はいないのか。探し求めた主人公はついに一人の人間の少年と出会い、打ち解けるが、実は彼も本当は人間でなかった。彼は学園を去り、彼のことを仲間だと思っていた気持ちだけが、ぽつんと取り残される。

 一体、仲間とは誰のことなのか。そんな問いかけの中でドラマは進む。異なった者同士であることは、相手が人でも動物でも変わらない。相手が誰であれ、根本的に異なった者同士が、歩み寄った先で出会うものが仲間ではなかったのか――。

 萌(も)え系の優しいムードとコメディータッチの中で、しっかりとした物語が展開されていく。巨大な方舟(はこぶね)の形をした学園の中で、見え隠れする謎めいた設定が読者の興味を誘いつつ、主人公の成長がゆっくりと、ていねいに描かれていく。今後の物語の行方が楽しみな作品だ。

    ◇

 マッグガーデン・5巻刊行。

ここから広告です

広告終わり

コミックガイド バックナンバー

バックナンバー

このページのトップに戻る