|
ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>コミックガイド> 記事 コミックガイド 見送りの後で [作]樹村みのり[掲載]2008年01月27日 萩尾望都、竹宮惠子、大島弓子ら、いわゆる「24年組」(少女マンガに革命をもたらした昭和24年前後生まれの女性漫画家たち)の一人に数えられるが、知名度的には比較的マイナーな存在。絵柄も華やかではないし、設定や物語にもファンタジックなところはない。しかし、繊細かつ丁寧な心理描写と地に足の着いた人間ドラマで根強い支持を得る。そんな作者の久々の新作だ。 81歳で他界した母親の葬儀に集まった親族たちとの語らいを通して、母との関係を見つめ直した娘の心の動きを綴(つづ)った表題作、学生運動やベトナム戦争を背景に一人の女性の青春と自立を描く「星に住む人々」、一本の柿の木と二つの家族の年代記「柿の木のある風景」など、全5編を収録。重いテーマを扱いながら、どこかすがすがしさすら漂わせる。それでいて、単なる“いい話”で終わらず、読者の胸の奥にチクリとした痛みや微(かす)かなざわめきを残す。 最も活発に執筆していた70年代の作品と比べると描線の瑞々(みずみず)しさは減じたが、その分、人生の機微や人間関係の綾(あや)をこまやかにすくい取る筆致は、さらに深みを増したようだ。一方、時代や社会状況と無縁ではいられない人間の営みを複眼的に見つめる視線は、昔も今も変わらない。グラフィックソフトで半端に立体感をつけたタイトルロゴをはじめ、造本はいかにも安直だが、中身は本物。世代を超えて読み継ぐに足る力がある。 ◇ 5作品からなる短編集。
ここから広告です 広告終わり コミックガイド バックナンバー
|
ここから広告です 広告終わり 売れ筋ランキングコラム
|