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コミックガイド

聖☆おにいさん [作]中村光

[掲載]2008年02月03日
[評者]山脇麻生

 世界中で大騒ぎになったにもかかわらず、サラーッと過ぎていった2000年。そこで、世紀末を無事に越えたイエスとブッダは、東京・立川に安アパートを借り、下界で休暇を過ごすことにした。

 ある場所では頂点に君臨する2人だが、ここではチラシで最安値商品をチェック、雨の日は洗濯物を部屋干しするなど、見事なまでの庶民っぷり。ギャップから生まれる笑いに加え、徳の高いことを言うと後光が差したり、我慢をする度に聖痕(せいこん)が開いたりと、誰もが知っている元ネタをベースに展開される笑いもあり、そのバランス配分が実にいい。ありえない設定だが、日常と非日常がうまく溶け合っているので、シュールな笑いが苦手な人でも、スッと、この不思議な世界に入っていくことができるだろう。

 筆者は『荒川アンダーザブリッジ』などの著書がある中村光。そこに描かれている主人公は、エリートであるにもかかわらず、まったくそれが価値を持たない荒川河川敷で、奇妙な隣人と面白おかしい日々を送っているのだが、本作にもまた、笑いのなかに滲(にじ)む、教訓のようなものを感じた。ギャグなのに読後感が深い理由は、そこにあるのかも。

 そういえばよく、お笑い芸人が「笑いの神が降りてきた」なんて口にするけれど、もし、本当に“笑いの神”がいるとしたら、きっと、こんな感じの顔をしているんじゃないかなあ。

    ◇

 「モーニング・ツー」に連載中。

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