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コミックガイド

アップル シナモン キャラメリゼ [作]宮川匡代

[掲載]2008年02月17日
[評者]ササキバラ・ゴウ

 デパートの屋上で、動物の着ぐるみに入って接客をする若者たちを描くシリーズ作品だ。毎回異なる動物の担当者の物語が、恋愛ドラマを中心に展開される。

 動物キャラクターになりきり、こどもたちの人気を集める彼女らは、いつも無言で活躍する。ことばだけではなく、表情も容姿も、本人の外観すべてが隠されて、動物の姿となって登場し、そのまま物語は進む。

 だから少女漫画らしい恋愛物語も、繊細な心理描写も、ちょっとマヌケな動物キャラの顔のままで展開していく。最も雄弁に心情を物語るはずの顔が隠されたまま、人と人の気持ちのやりとりが描かれる。このギャップが、作品に独特の魅力と説得力をもたらしている。外観が見えないからこそ、むしろ人の内面が素朴に浮かび上がる。表情がわからないからこそ、仮面の向こう側でゆれ動いているはずの心情が、読む者の想像力を強くゆさぶるのだ。

 考えてみれば私たちは誰しも、普段は外面をとりつくろって生きている。ある意味では、着ぐるみに入っているのと変わりはしない。だから、いっそ本物の着ぐるみに入ってしまえば、そんなとりつくろいさえも隠され、ただまっすぐな気持ちだけがあぶり出されてくる。

 そんなふうにして、毎回のドラマは、おだやかな心へと着地する。明るくやさしいムードとシリアスな展開がまじりあい、充実した読後感の作品だ。

    ◇

 集英社・全2巻。「コーラス」に掲載された作品をまとめた。

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