[掲載]2008年2月24日
島本和彦といえば、『吼(ほ)えろペン』シリーズで熱血漫画家・炎尾燃(ホノオモユル)の“マンガバカ”ぶりを熱く描き、同業者からの支持も厚い“炎の漫画家”だ。その島本の新作がコレ。タイトルといい、青を基調に人物を隅っこに配したカバーイラストといい、従来の作品とは違う静寂感が漂う。が、中身はいつもの島本節が全開だ。
主人公は〈大作家(おおさっか)芸術大学〉1年生・焔燃(ホノオモユル)。近い将来、漫画家としてデビューし、人気作家となることをもくろんでいるが、現実には投稿用の作品も描いていない。一方でプロの作品に〈女の子が可愛いだけではダメなんだ!!〉などとダメ出しし、自分が見つけた(つもりの)切り口を先取りされて〈やられたっ!!〉とショックを受ける。そんな若者らしい勘違いにまみれた男の青春を、滑稽(こっけい)かつ大胆に描く。
何が大胆って、〈この物語はフィクションである〉と断りつつも、大阪芸大で作者と同期だった庵野秀明(『新世紀エヴァンゲリオン』の監督)が実名で登場し、当時売り出し中の高橋留美子、あだち充らの名前と作品が、そのまま使われているのである。
そう、これは作者の“青い時代”を描いた自伝的作品だ。80年代前半に青春を過ごした人間には懐かしく、若い世代には当時の文化が新鮮に映るはず。いや、今の若者にとっても、本作に描かれた青雲の志のようなものと、それが空回りする痛さは、他人事ではないだろう。
◇
小学館・第1巻、540円。「週刊ヤングサンデー」掲載作品をまとめた。
著者:島本 和彦
出版社:小学館 価格:¥ 540
著者:島本 和彦
出版社:小学館 価格:¥ 560
著者:貞本 義行・Gainax
出版社:角川書店 価格:¥ 567
ここから広告です
広告終わり