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コミックガイド

少女漫画 [作]松田奈緒子

[掲載]2008年03月02日
[評者]山脇麻生

 少女漫画のキラキラ目って宇宙みたいだ。大きな黒目に幾つも星が飛んでいる。本作は、そんな煌(きら)めくアーモンドアイを、大胆にカバー中央に据えたデザインが印象的。眉は下がり、瞳は悲しみの涙に濡(ぬ)れているが、だからこそ一層輝いて見える。

 『ベルサイユのばら』や『ガラスの仮面』といった名作をモチーフにした連作のなかには、努力が認められず、搾取される日々に疑問を持つ派遣のOLや、挫折することで周囲の偏見と自身の仮面を取り払うことができた女子アナ、わが子に完璧(かんぺき)を求めるあまり、子どもの気持ちを無視した子育てをしてしまう母親が登場する。そう、ここに描かれているのは、社会や人間関係のひずみから噴出した幾種もの“痛み”や“悲しみ”。当人の思惑と違う方向に現実が進んでいくとき、ドロドロに陥りがちな感情も、少女漫画というフィルターを通すことで濾過(ろか)されるのか、悲しみの感情もまた、美しいことを教えられる。クールな描線も、その作用に寄与しているのだろう。

 逆に、作者はクローズな世界だった少女漫画界のフィルターを取り払い、ほぼ全編を通して登場する少女漫画家・俵あんに、製作の現実について語らせた。売れている作家、売れていない作家、それぞれに秘めた悲しみがあるのだが、どちらも少女漫画の存在によって癒やされ、瞳に輝きを取り戻す。カバーに象徴される涙で浄化された瞳のように。

    ◇

 「コーラス」掲載作品をまとめた。

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