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コミックガイド

そこをなんとか [作]麻生みこと

[掲載]2008年03月23日
[評者]南信長

 かの大阪府知事を世に出した人気番組の影響か、マンガ界も数年前から法律ブーム。『弁護士のくず』『島根の弁護士』ほか、弁護士モノは枚挙に暇(いとま)がない。そこに新規参入したのが本作だ。

 法科大学院と新司法試験導入のおかげで弁護士になれたものの、人数が増えた分、競争も激しくて、どこの法律事務所にも就職できず、ツテをたどって零細事務所に押しかけてきた新米弁護士・改世楽子(かいせ・らくこ)。この主人公のキャラが痛快だ。貧しい家庭でたくましく育ち、キャバクラでバイトしながら司法試験に合格。度胸満点で計算高いが、真っすぐな心根で人情味に厚い。そんな彼女が“手みやげ”に持ってきた結婚詐欺事件に始まり、居酒屋での傷害事件、離婚調停、遺産相続といった案件を、彼女とクールでやり手の先輩弁護士が、時に愚直に時に裏技を使いつつ、落としどころを見つけていく。その展開はまさに人間ドラマ。弁護士の仕事とは〈そこをなんとかそこをなんとかって頼んだりなだめたり/そんなことの方が大半なんですね〉という楽子のセリフどおり、理屈ではなく情の世界である。

 本作に真の悪人は出てこない。傷害で前科3犯の被告人さえ、憎みきれないろくでなしとして描かれる。それを甘さと見る向きもあろうが、決してお涙頂戴(ちょうだい)でなく、アップテンポなコメディーとして楽しめる。このポジティブな晴朗感は、数ある弁護士マンガの中でも出色だ。

    ◇

 「メロディ」掲載作品をまとめた。

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