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コミックガイド

コランタン号の航海 [原作]大木えりか [画]山田睦月

[掲載]2008年04月13日
[評者]ササキバラ・ゴウ

 時代は19世紀初頭、英国海軍所属の船を舞台にした、海洋冒険ドラマだ。

 世の中は近代化の真っ最中。科学的な考え方を武器にして、人類が世界を切り開いていった時代だ。この船に配属された主人公も、機械化された紡績工場の経営者の家に育ち、近代化の洗礼を受けてきた合理主義者だ。ところが、そんな彼がこの船で遭遇するのは、どうにも非合理的な事件ばかり。

 船員は妖術で風を呼び、船医は呪術で治療し、食卓には死んで霊となった同僚が座っている。ありえないはずのことが度々起き、ついには千年以上昔の妖精と悪魔の伝説までが現実と化し、主人公はその事件の渦中にのみこまれていく。

 そんな幻想的なできごとを、この作品は決してファンタジーとしては描かない。ただの現実として描きだす。その一貫した姿勢が、この作品の読みごたえを確かなものにしている。

 近代化が進んだとはいえ、まだ古い考え方が支配的だったこの時代。そこに生きる人にとっては、呪術や霊や妖精はファンタジーではなく、日常生活の中に根づいた自然な世界認識だ。それが時代のリアルなのだ。そんな空気感を作者はていねいに描き、積み重ねていく。彼岸と此岸(しがん)の重なりあった不思議な世界の中で、生き生きと活躍する人間たちのドラマが展開されていく。

 穏やかで力強い描写と、確かな時代感覚が印象的な作品だ。

    ◇

 「ウィングス」で連載中。

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