[掲載]2008年5月18日
先の日中首脳会談で、中国側は死んだリンリンに代わるパンダの貸与を決めたという。そうやって外交カードになるほど人気者のパンダだが、本作においてはあくまでも脇役。主役を張るのは、妙にリアルに描かれた大きな熊(巻末のおまけマンガによれば、名前は大熊でか子)だ。
この大熊と、やんちゃな子熊たちが繰り広げるドタバタ劇。棲(す)み家となる穴倉周辺を舞台に、大熊がお母さんや先生やおじいさんや町内会長や誘拐犯を演じ、子熊たちが引っかき回すというシチュエーションコメディーである。イメージとしては、大熊がいかりや長介で、子熊たちが加藤茶や志村けんという感じ。
動物マンガということで、ほのぼのした笑いを想像したら大間違い。リアルな大熊に対し、ぬいぐるみそのものに描かれた子熊たちは一見キュートで無邪気だが、中身は結構ワルである。学級崩壊のクラス並みに収拾がつかない状況を、身もフタもないブラックなオチで強引に締める展開には思わず苦笑。まったく同じ絵でセリフだけ変えたコマをお約束のように使ったりするのも手抜きではなく確信犯的“ワンパターンの美学”だろう。
ちなみに、本作に登場するパンダは、借金の取り立て人や食い逃げ犯を演じる悪辣(あくらつ)キャラ。が、現実のパンダもよく見ると目が笑ってない。あれで意外と凶暴という話も聞く。本作は、そんな記号的可愛さの嘘(うそ)を暴く……とは深読みしすぎか。
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第1巻刊行。「COMICリュウ」掲載作品を収録。
著者:黄島 点心
出版社:徳間書店 価格:¥ 680
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