現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. BOOK
  4. コミックガイド
  5. 記事

百舌谷さん逆上する 1 [作]篠房六郎

[掲載]2008年7月13日

  • [評者]南信長

 皆さん、「ツンデレ」ってご存じですよね? 「普段はツンとしているが、好きな相手と2人きりになるとデレデレする」あるいは「好きな相手にデレデレしないよう逆にツンとした態度で接する」ような人物・現象のこと。が、それはただの俗称で、本来は〈ヨーゼフ・ツンデレ博士型双極性パーソナリティ障害〉という遺伝病の一種である――というのが本作の基本設定だ。

 とある小学校に転校してきた美少女・百舌谷(もずや)さんはそのツンデレ病に侵されている。自己紹介から憎まれ口をたたき、女子たちが仲良くしようと近づいてくるとイスを振り回し大暴れ。揚げ句に〈皆さんどうかこれからは私をシカトして下さい〉と大演説を打つ。望みどおりクラス中から無視されるなか、唯一ちょっかいを出し続けるガキ大将的男子。そんな彼に好意を抱いていることを自覚した彼女は、ツンデレ症状により彼に殴る蹴(け)るの暴行を加えて病院送りにしてしまい……。

 百舌谷さんが毅然(きぜん)とした態度で放つ悪口雑言は胸がすくほどの破壊力。半面、時折見せる困惑の表情が何ともいじらしい。極端に誇張されてはいるものの、「好きな子に意地悪する」「嫌い嫌いも好きのうち」という心理は誰しも理解できるはず。彼女が抱える絶望感、訳あって彼女の下僕となった不細工男子との関係も含め、屈折と倒錯に満ちた暴走ラブコメディーだが、根底には意外と普遍的な人間心理の綾(あや)がある。

    ◇

 「アフタヌーン」掲載作品を収録。

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内

ここから広告です

広告終わり

検索

POWERED BY Amazon.co.jp