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妄想戦記 ロボット残党兵 1 [作]横尾公敏

[掲載]2008年11月23日

  • [評者]南信長

 タイトルは戦後の人気漫画『ロボット三等兵』(前谷惟光)のもじり。今どき珍しいほどローテクなメカデザインもレトロな雰囲気を醸し出す。が、ドジで落ちこぼれの本家とは違い、こちらは帝国陸軍の秘密兵器。厳密にはロボットではなく、脳は人間のままの機械化人間なのだ。

 時は昭和18年1月、満州国とモンゴルの境界上の戦線で、日本軍の機械化人間が初めて実戦に投入される。〈日の丸人〉と名付けられたわずか28体の“新兵器”が、巨大戦艦のようなソ連の〈超弩級(どきゅう)多砲塔戦車〉を粉砕。それを契機に、各国が兵器としての機械化人間の開発、実戦配備に力を注ぐようになり……。

 人間の脳を持つ機械化人間たちは名前もあれば感情もある。主人公の三船は、もともと機械化人間の研究に携わりながら、妻子を守るため、病魔に侵された体を捨てて機械化を志願。ほかの機械化人間たちもおそらくおのおの事情を抱えており、それが作品全体に哀切の影を落とす。現実にはそんな人間兵器で戦局は変わるまい。それでも訓練を積み、戦地に赴く彼らの姿は特攻隊員のようでもある。

 作者は、これがデビュー作。戦闘シーンの構図やコマ割りには改善の余地アリだが、偏執狂的な描線とセリフ回しは表現する意志にあふれている。機械化人間たちの宿命に、各国の情勢、謎の地下組織など、さまざまな要素を絡めつつ展開される架空戦記は、まさに発火寸前だ。

   ◇

 初出は「月刊COMICリュウ」。

表紙画像

ロボット三等兵【中】

著者:前谷惟光

出版社:マンガショップ   価格:¥ 1,890

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