[掲載]2009年11月22日
■小1男子の受難に含み笑い
一般に、男子より女子のほうが早熟というけれど、本作の登場人物たちの場合もそうである。
主人公は、小1男子・たかはしたかし。勉強や運動は特別できるほうではなさそうだが、小1の割にはクールで頭の回転が速く、空気を読む力もある。そんな彼の天敵が、クラスメートのあやちゃんだ。天性の女王様気質で、常に上から目線。彼女の一方的で理不尽な要求に困惑しながらも、たかしはヘビににらまれたカエルのごとく、従うしかなくて……。
かくれんぼで鬼のあやちゃんに見つからないようにと考えた末、なぜか半裸になってしまったり、図工の時間にお互いの似顔絵を描くことになり、何とか美化しようとすればするほど“事故った”ような顔になってしまったり。窮地に陥ったたかしがアレコレ考えたあげくドツボにはまるさまが含み笑いを誘う。たかし曰(いわ)く〈鬼〉か〈修羅〉かのあやちゃんが時折見せるしおらしい一面に油断して調子に乗ると、手ひどいしっぺ返しを食う。それでいて、端然とした微笑が可愛く見えてしまうときもあるからタチが悪い。小学生の話ではあるが、自分の彼女や妻と引き比べ、他人事ではない戦慄(せんりつ)を覚える男性も多いのではないか。
作者は、これがデビュー作。子供の無邪気さと大人のやるせなさをないまぜにしたような世界が何ともむずがゆい。たかしのキャラとは裏腹に、媚(こ)びない絵柄、スパイスの効いたセリフに作家としての可能性を感じる佳品である。
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初出は月刊イッキ
著者:にしがき ひろゆき
出版社:小学館 価格:¥ 630