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「不思議の国のアリス」のラストシーン。舞い上がったトランプがアリスめがけて飛びかかる=伊ケ崎忍撮影
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ページを開くと恐竜が飛び出してくる「恐竜時代」=伊ケ崎忍撮影
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仕掛け絵本のサンプルが並ぶコーナー=東京都渋谷区の紀伊国屋書店新宿南店で
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ページを開くと絵が立ち上がったり音が出たりする「仕掛け絵本」が人気を盛り返している。立体的に絵が飛び出す本は「ポップアップ」とも呼ばれ、精巧で華やかさも備えた新作が書店に登場。「自分のために」と、大人たちも買い求めている。
最近の仕掛け絵本で注目されているのが、アメリカの絵本作家ロバート・サブダの作品群だ。児童書などを扱う出版社、大日本絵画(本社・東京)が昨年11月に発売した「不思議の国のアリス」日本語版(税込み3990円)は初版1万5千部がこの夏までに完売。1万部を増刷したが、それも品切れ状態だ。今年9月には「恐竜時代」と「オズの魔法使い」(いずれも日本語版、同3990円、初版1万2500部)を発売。これまでに恐竜時代は約1万部売れ、オズの魔法使いはほぼ完売した。
近年では8年前に出したクリスマス向けの仕掛け絵本の5千冊が最高だったが、それを大きく上回る人気だ。編集の北村正雄さんは「仕掛け本のコレクターが増えている。精巧さに驚いた大人たちが買い求め、来客に見せて楽しんでいるようです」と言う。
どのページにも複雑な仕掛けがあり、見る者を飽きさせない。「恐竜時代」は計35体の恐竜と50種類以上の最新恐竜情報を盛り込んだ、いわば「立体恐竜百科」。「アリス」は物語通り奇想天外で、アリスの手足が家から飛び出し、トランプが舞い上がるなど、色彩も仕掛けも派手だ。
仕掛け絵本は、ページを開くと(1)絵が飛び出す(2)持ち手を引くと絵が変わる(3)穴から次のページがのぞける(4)においや音が出る、など様々だ。
仕掛け絵本コレクターでもある神戸市北区の有馬玩具博物館長、西田明夫さんによると、歴史は13世紀ごろまでさかのぼる。現在の仕掛け絵本の基本は、ほとんどがドイツのメッゲンドルファー(1847〜1925)が発案したものだという。
国内では現在、10社前後の出版社が仕掛け絵本を手がけ、扱う書店も増えている。
紀伊国屋書店新宿南店(東京都渋谷区)は、2階の児童書コーナーの一角に仕掛け絵本を並べている。5歳の息子らと訪れた東村山市の主婦(35)は「親類からプレゼントとして仕掛け絵本をもらうことが多いです。何度も繰り返し見られるのがうれしい」と話す。
同書店の児童書担当、斎藤万里子さんによると、今年になって仕掛け絵本への問い合わせが激増。20代男性の買い求める姿も見られるようになった。「贈りものにも適しているし、家に1冊あるとなごむのでしょうね」と話す。
福井市の「じっぷじっぷ」が昨春、仕掛け絵本フェアを開いたところ、若いカップルや30歳前後の大人が次々と買い求めた。今は常時約60作品が並ぶ。清水祥三社長は「デジタル中心のネット社会なのに、すごくアナログな仕掛け絵本が受ける。そこがおもしろい」。
大阪市北区の絵本専門店「ism」も今夏、「ポップ・アップ&しかけ絵本フェア」を開いた。「クリスマス以来の売れ行きでした」とオーナーの辻中礼子さん。「仕掛け絵本は少々高めですが、納得のいくものにはお金を出されますね」
こうした人気について、絵本に詳しい今井良朗・武蔵野美術大教授(視覚表現論)は「デジタルブックや電子辞書が重宝がられる一方、紙など触れられるものにすごく興味を持つ人が増えている。仕掛け絵本もその一つ。文字と絵で対話し、ぬくもりを感じられる絵本の中でも、立体的な仕掛け絵本は物語へのイメージがさらにふくらむ良さがあるのではないか」と話している。