そろそろ「静かなブーム」と言っていいかも知れない。志ん朝、小さん、柳昇、文治、文枝……と大看板が次々に消えた落語界に新しい風が吹いてきた。昨夏、春風亭小朝らがプロデュースした「大銀座落語祭」は1万5千人を集め、2月に、名人ふたりの旧満州時代を描いた井上ひさし作「円生と志ん生」の上演。3月には、歌舞伎の勘三郎と前後して林家こぶ平が九代目正蔵を襲名するなど話題は豊富だ。
とはいえ、「笑点」は知っているが、落語そのものには触れたことがない人も多いのでは? そんなあなたに、落語未経験者を集めて聞かせた記録『春風亭昇太ひとり会 はじめての落語。』(東京糸井重里事務所)。企画したコピーライターの糸井重里さんは「富士山にも登山口がある。落語は、ここから登ってください」と書く。
新正蔵の父は、笑わせ続けて54年の人生を駆け抜けた「昭和の爆笑王」だった。『九代正蔵襲名』と、神津友好著『笑伝 林家三平』(新潮文庫)を併せ読めば、その系譜がよくわかる。「創作落語」の旗手の自伝が『桂三枝という生き方』、『古典落語CDの名盤』は古典の名演を楽しむガイドだ。人間国宝・桂米朝が30年前、中高生向けに書いた『落語と私』(文春文庫)は今、大人が読んでも面白く、深い。
人気の脚本家・宮藤官九郎(クドカン)が古典落語の世界を今に置きかえたドラマ「タイガー&ドラゴン」(TBS系)が始まり、「『三枚起請(きしょう)』の回」のシナリオも出た(角川書店)。
このところ、テレビの後押しもあって、お笑いブームが盛り上がっている。その「奥座敷」と言うべき落語にも、となるか。