ほぼ1年前にこの欄で「静かなブーム」と書いてから、落語ブームはさらに本格化したようで、活字に加え、音や映像もからめた出版ラッシュが続く。
ミスター落語・志ん生の本は『文芸別冊 古今亭志ん生』、結城昌治著の名作評伝の復刊『志ん生一代』上・下(人物文庫)、DVD・BOOK『志ん生復活! 落語大全集』全13巻(講談社)が次々と。
次男志ん朝の人気も根強い。弟子たちによる『よってたかって古今亭志ん朝』がその素顔を伝え、横井洋司・写真+京須偕充・文『志ん朝の高座』(筑摩書房)は端正な姿を写しとる。山藤章二・池波正太郎・中村勘九郎(現・勘三郎)らとの対談集『世の中ついでに生きてたい』(河出書房新社)では、くつろいだやりとりを、『榎本版 志ん朝落語』(ぴあ)では榎本滋民による緻密(ちみつ)な解説を味わえる。
上方では人間国宝・桂米朝の世界の大きさを示す『桂米朝集成』全4巻に続き、『桂米朝座談』全2巻(ともに岩波書店)が完結。異能の弟子・枝雀の『桂枝雀爆笑コレクション』全5巻は刊行中だ。
作家夢枕獏が新作派に書いた噺(はなし)の『楽語・すばる寄席』(集英社)、新爆笑王・柳家権太楼の『権太楼の大落語論』(彩流社)、噺家生活65年の三遊亭金馬著『金馬のいななき』(朝日新聞社)も出た。
ガイド本も多い。ファンの立場からお気に入りCDを薦めるのが中野翠著『今夜も落語で眠りたい』(文春新書)、録音エンジニア草柳俊一がうんちくを披露したのが『落語CD&DVD名盤案内』だ。
近代落語の祖・三遊亭圓朝(えんちょう)の代表作「真景累ケ淵(しんけいかさねがふち)」が『新日本古典文学大系 落語 怪談咄(ばなし)集』(岩波書店)に収められ、彼の生涯を描く正岡容著『小説 圓朝』(河出文庫)が復刊されるなど、落語本のタネは当分尽きそうにない。