戦後ジャーナリズムの一方の旗頭だった週刊誌にかかわった人々による回顧本が相次いで出ている。意欲満々の記者、編集者らが事件やスキャンダルに果敢に挑んでいた週刊誌の青春時代の記録だ。
出版社系週刊誌の先がけ、「週刊新潮」の創刊が56年。以来50年の足跡を代表的なスキャンダル記事29本でたどるのが新潮社編『「週刊新潮」が報じたスキャンダル戦後史』だ。話題の人物の輪郭を談話を交えて独特の文体で描き出す記事が並ぶ。
「週刊現代」「フライデー」の元編集長がその舞台裏をつづるのが元木昌彦著『週刊誌編集長』。検察ににらまれたり、宗教団体のいやがらせを受けたりする記事で存在感を示す一方、ヘアヌードで読者をつかむ。サラリーマンの読者に寄り添う「カネ、女、出世」路線の全盛時の雰囲気がよくわかる。
「新潮」「現代」よりも目線を下げた軟派週刊誌に「アサヒ芸能」がある。佐々木崇夫著『三流週刊誌編集部』は、その60年代末から70年代にかけての編集部での日々を振り返る。政治ネタには弱いが、風俗や暴力団の話題には強いという独特の雑誌。怪人と言われた徳間康快社長もしばしば登場する。
一方、高橋呉郎著『週刊誌風雲録』は戦後の週刊誌の通史だ。草柳大蔵、梶山季之、竹中労……。フリーの立場で各雑誌に記事を書いた個性派の作家、ライターもまた週刊誌の歴史を語るには欠かせない存在だが、彼らへの目配りが怠りない。
また、長尾三郎著『週刊誌血風録』(講談社文庫)はフリーの記者の視点で描く。同じ素材でも女性週刊誌は男性週刊誌とはまったく違う切り口で記事をつくることなどが紹介されていて興味深い。
部数減少にあえぐ週刊誌は今、「冬の時代」と言われるが、これらの本は現役の記者、編集者への叱咤(しった)と激励のメッセージにもなっている。