景気回復で金融などの企業の新卒の採用は大きく増えそうだ。だが、この10年来の非正社員労働者の増大などの問題は積み残されたまま。こんな時代に、仕事をどう選ぶか。そして就職や転職にどう臨むか。今回はその参考になる本を。
城繁幸著『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は、若者を踏み台にして成り立つ企業の構造を論じる。会社が持続して成長する時代が終わり、社内のポストも削減。若い頃の辛抱がいつか報われるという、出世、昇進への幸せのレールは消えつつある。そこに気づいた人は辞めていくし、そもそも就職できなかった人は、レール自体に縁がなく、正社員との格差は固定される。著者は、レールの先まで行った中高年の正社員に恩恵が偏る年功序列の問題点を指摘。そして若者には、従来の価値観にとらわれずに自分で決めた道を歩んではどうか、と提案する。
一方、就職の悩みに直面している若者とその親に向けて書かれているのが小島貴子著『就職迷子の若者たち』だ。まず自分と向き合うことを著者は薦める。そして会社を探すのは最後で、どんな仕事があるかを探すのが先決、と説く。
仕事に目を向ける、という点では、金子勝著『金子勝の仕事道!』も同じだ。経済学者の著者と個性的な人たちとの対談からは人生についてのさまざまな価値観が浮かび上がる。朝日新聞社広告局編著『仕事力 青版』でも、各分野で活躍する15人によってそれぞれの仕事観が語られている。生き方探しのヒントになりそうだ。異色なのは阿部真大著『搾取される若者たち』(集英社新書)で、バイク便ライダーの体験から不安定雇用の実態を描いている。
若者受難の時代。これらの本は、「食い逃げ世代」などと風当たりが強い団塊世代にこの問題の大きさを問いかけてもいる。