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法令順守 厳しいルールで嘘はなくなる?

[掲載]2007年03月04日
[評者]木村彰一

 談合、汚職、事故の隠蔽(いんぺい)………。不祥事が止まらない状況を打開しようと「コンプライアンス」に注目が集まっている。日本語で「法令順守」。企業・組織のクリーンな運営を目指す方法論の追求だ。

 コンプライアンスの本場はアメリカ。ジェニングス・アリゾナ州立大教授の『ウサギはなぜ嘘を許せないのか?』は、「それじゃ正直じゃない。正しくない」が口癖の大ウサギの教えを描くビジネス寓話(ぐうわ)。解説で、公認会計士の山田真哉氏は、相手に正直であってほしいから自分もそうする、「正直であれ」こそコンプライアンスのエッセンスだと説く。

 伊藤真氏の『会社コンプライアンス』も、核心は「他者への共感」であるとし、さらに、仲間意識に守られた日本の土壌風土を抜け出して「会社の民主化」をし、「個人の尊厳」という憲法の価値観を会社に取り込んでいくことだという。

 岩井克人氏の『会社はだれのものか』は、資本主義は「中核の部分で、人間が倫理的であることを必要とした社会体制」だとし、その倫理の基を、自己利益を超えた何かを追求し、法的な義務を超えた何かをみずからに課す個人が構成する市民社会の内に探ろうとしている。

 元検事の郷原信郎氏は『「法令遵守」が日本を滅ぼす』で、談合やインサイダー規制、建築基準法などを例に「日本の場合、法令と社会的要請との間でしばしば乖離(かいり)・ズレが生じ」るので、「法令を守れば良い」と単純に推し進めていけば社会の混乱と矛盾が極限に達するという。

 「アメリカのような法令中心、司法中心の国では、法令を遵守することが社会的要請に応えることにな」るが、日本では「精緻(せいち)な法令の存在意義は、国がやっていることに間違いはないとの信頼を与える『象徴』」でしかない、と手厳しい。

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