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イタリア! 全方位的に際立つ不思議の国

[掲載]2007年03月25日
[評者]中村謙

 人であれモノであれ、何につけてもキャラが立っているのが、イタリアである。

 そのキャラ立ちの頂点に立つひとりが、万能のレオナルド、天才レオナルド・ダ・ヴィンチ。東京・上野の東京国立博物館で開催中の特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の実像」(朝日新聞社、NHKなど主催、6月17日まで)では、初期の代表作「受胎告知」が国内初公開されている。池上英洋著『レオナルド・ダ・ヴィンチ』は、この天才の作品ばかりでなく、評伝的な解説にも配慮した読む画集だ。他にもマーティン・ケンプ著『レオナルド・ダ・ヴィンチ』(藤原えりみ訳、大月書店)など、謎多き天才を語る本が、相次いで出版されている。

 美だけではない、味の世界でも「クチーナ・イタリアーナ」が席巻している。「花も団子も」がイタリア流なのである。オーナーシェフとして名高い落合務は、著書『せっかちおかずイタリアン風。』で、「イタリアンは日本でいちばん身近な洋食」と断言する。イタリア発の食とライフスタイルの哲学「スローフード」を追ってきた島村菜津の新著は『バール、コーヒー、イタリア人』(光文社新書)。副題は「グローバル化もなんのその」だ。

 硬派の世界では、元祖イタリア、古代ローマである。古来、共和主義者も独裁者も、ともにその正統性を古代ローマに求めてきた。昨年暮れに完結した大作『ローマ人の物語』で塩野七生は、ローマ史全体を見渡しつつ、共和制か帝政か、ではなく、社会構造の変化に応じて政治体制を変えてきたところに、古代ローマ人の知恵を見る。

 イタリアでは、その闇もまた、際立って深い。シルヴィオ・ピエルサンティ著『イタリア・マフィア』は、シチリアから世界に広がる巨大な黒い影の実態を語って、慄然(りつぜん)とさせる。

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