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医師の実像 もっと知ることは患者にも有用

[掲載]2007年06月10日
[評者]前田浩次

 インフォームド・コンセントやセカンドオピニオンの重視など、医師と患者・家族の意思疎通を促す流れは顕著だ。しかし依然として、互いの満足度は高くないのではないか。そんな状況を少しでも改善しようという本が出てきている。

 尾藤誠司編『医師アタマ』は、医師たちが「自分の意見が患者にわかってもらえないことを、患者の無理解によると一律に考えていないか」と自省した本だ。健康とは、正常とは、様子をみるとは、治療の効果と負担とは、などなど、医師がどう考えていくのかを知ることは、患者にとっても、伝えたいことをうまく伝えるためには有意義だろう。生命にかかわる「異文化」間コミュニケーションは、学校教育で訓練してもいいはずだ。

 加藤大基・中川恵一著『東大のがん治療医が癌(がん)になって』は、アタマだけでなく、医師のカラダ=その活動の実態について、かなりページを割く。医療事故とか高収入とかの流布したイメージが、誤解・無理解、政策の不備につながっている、と。「マンパワー不足の医療部門がある。徹夜明けのパイロットが操縦する飛行機に乗りたいですか? 徹夜明けの外科医の手術を受ける可能性は十分あるんですよ」と訴える。

 定塚甫著『医者になる前に読む本』は、医師養成課程に見られる、ふた筋の心構え・受ける訓練を並び書く。もちろん望ましいのはどちらか、ということだが、文字通り医師を目指す人にとっての導入本であると同時に、患者にとっては、医師を見る目を養うマニュアルにもなっている。

 西寺桂子著『医師の死角、患者の死角』は、医療側の努力と等しく、受け手である患者も努力すべきだという。描写される「困った患者」になっていないか、我が身を振り返ってみなければ。

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