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老いるとは 「弱さ」受け入れる「強さ」どこに

[掲載]2007年09月09日
[評者]堀田あゆみ

 「老い」をどう生きるか、イメージが固まっている人は、どれだけいるのだろう。

 「最後はひとり」、でも「老後のひとり暮らしは怖くない」と言い切るのが、上野千鶴子著『おひとりさまの老後』だ。誰の顔色も見なくていい、自分だけの時間を楽しむノウハウを歯切れよく説く。通底するのは「人間は弱い」という視点。「助けて」と言える人間関係が大切と語り、PPK(ピン・ピン・コロリ)主義に疑問を呈する。論じられることの少ない「介護される側のノウハウ」や、誰にもみとられない死のあり方まで冷静に考えていく筆致に、老いと真摯(しんし)に向き合おうとする著者の姿勢を感じる。

 現実に身体の自由が利かなくなったら、どうなるか。坪内ミキ子著『母の介護』は、要介護となった母との6年を描く。宝塚歌劇団1期生で、倒れるまで毎週美容室に通い、しゃんと背筋を伸ばしていた母が、何をしても文句ばかり、夜中に介助者を何度も起こして用を言いつける変わりよう。著者は、動けなくなり、死と向き合う母の葛藤(かっとう)ゆえと思い至る。老いることの難しさを改めて思い知らされる。

 近年、増加中という「キレる新老人」に着目したのは、藤原智美著『暴走老人!』。老人は精神的に成熟し、他者に寛容という固定観念に反して、窓口の対応が気に入らないからと突然、怒鳴り散らしたり、殴りかかったりするのが「新老人」だ。背景を探るうちに、携帯電話の登場、郊外の住宅地の高齢化、労働に心の領域も提供させられる「感情労働」の増加といった社会の変化のなかで、人と人とのかかわり方が急速に変わり、孤立感、疎外感を募らせる老人の姿が浮かび上がり、せつない。

 最後に、ジャン=ルイ・フルニエ著『ぼくの最後の黒い髪』。老いを迎える心情を少々露悪的に描き、くすり、にやり、とさせられる。

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