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歩け東海道 江戸の面影しのび、ゆっくりと

[掲載]2007年09月30日
[評者]大上朝美

 定年退職したら、ゆっくり東海道を歩いてみたい―などと夢想している人は多いだろう。古来、交通と輸送の大動脈として歴史を刻み、江戸の面影をしのべる場所もそこかしこ。歴史好きな中高年にはうってつけだ。ガイド本にも事欠かない。

 本多隆成著『東海道を歩く』は、東京・日本橋から京都までを著者が歩き、現在の地図と街道沿いのポイントになる写真を使いながら、道と宿場の歴史を説く。著者は近世史が専門。歩く前に、ざっと近世の東海道整備をおさらいしている。

 森川昭著『東海道五十三次ハンドブック改訂版』は、4刷・実売1万部を超えた初版の10年ぶりの改訂。ルートを記した地図に、やはり全宿場を踏破した解説が付くが、著者は近世文学が専門なので、歌碑や句碑、歌枕などは非常に詳しく記録。一口話や日帰りコースの設定もある。

 この2冊ほど実用を目指してはいないが、石川英輔著『ニッポンの旅 江戸達人と歩く東海道』も読んで楽しい。宿泊や旅程などの旅事情とともに、安全な往来が可能だった江戸社会の美点を語る。

 東海道といえば、五十三次を描いた広重の浮世絵だ。起点・終点の日本橋と京都三条大橋を含めた55図と、同じ場所を同じアングルで狙い、大正期に撮影した写真を見開きに並べた『東海道』が復刊された。品川など、すでに線路は4本見えるが、駅のすぐ裏は海である。大正は江戸に近かったのだ。

 江戸時代、東海道を普通に歩いて2週間前後だったらしい。それがいま、「のぞみ」では2時間ちょっと。歩いてなんかいられない向きには、一坂太郎著『東海道新幹線歴史散歩』(中公新書)が、車窓から見える歴史ポイントをカラー写真で紹介する。読み終わる前に着いたりして。

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