ここから本文エリア

RSS

現在位置:asahi.com>BOOK>話題の本棚> 記事

話題の本棚

読む大相撲 土俵の上の好勝負こそ見たい

[掲載]2008年02月03日
[評者]大上朝美

 久方ぶりに横綱同士が千秋楽に優勝を争った大相撲初場所の結びの一番は、本当に力のこもった好勝負だった。昨年来、「横綱の品格」や暴行致死事件と、土俵の外でさまざまな問題が報じられ、人気の低迷も取りざたされた中、大相撲の魅力は土俵の上の好取組、好勝負に尽きると再認識する。

 文壇きっての相撲通といわれ、戦後、横綱審議委員にもなった舟橋聖一著『相撲記』は1943年に出版された本だが、実に面白い。大横綱・双葉山の全盛期に当たり、その70連勝を阻んだ安芸ノ海もやがて横綱に。耽美(たんび)派作家がその目で見た大正期以来の名力士たちの立ち合いが、まざまざと見えてくるような観戦記であり相撲文化論である。

 双葉山が生前に著した『相撲求道録』が、そのタイトルを『横綱の品格』と改めてベースボール・マガジン社新書に。「木鶏」たらんとひたすら精進した足跡を淡々とつづり、感銘深い。

 行司の33代木村庄之助著『力士(ちからびと)の世界』は、昨年春場所を最後に引退した元立行司が、大相撲での52年間を振り返りながら、数々のしきたりがある世界を紹介する。神事に始まる相撲の伝統を理解し、精神を身につけるのは、外国人力士だけでなくいまや日本人力士にとっても難しい、と語る。

 半藤一利著『大相撲人間おもしろ画鑑』は、日本書紀以来の文献記述をたどり、日本人にとって相撲とは何かを、エピソードでわかりやすくつづる。

 横綱審議委員であり、すっかり「悪役(ヒール)」の役どころの横綱の「天敵」ともいわれる内館牧子著『お帰りなさい朝青龍』は、数年間の週刊誌連載コラムから「朝青龍問題」などを抜粋した本である。問題の所在を著者は以前から厳しく指摘してきたが、それは個人的な好悪の感情などでなく、広く大相撲への熱烈な愛なのだと納得した。

ここから広告です

広告終わり

このページのトップに戻る