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天璋院篤姫 ドラマ・小説・史料で浮かぶ人物像

[掲載]2008年02月10日
[評者]三ツ木勝巳

 NHKの大河ドラマ「篤姫(あつひめ)」の人気もあって、幕末から明治への激動期、薩摩の島津家から13代将軍徳川家定の正室となった天璋院(てんしょういん)篤姫にスポットがあたっている。その原作でもある宮尾登美子の小説『新装版 天璋院篤姫』や、史料に忠実に時代や人物を描き出した書籍など出版物もにぎやかだ。

 『新装版 天璋院篤姫』は、島津一門の今和泉家に生まれた「於一(おかつ)」が、篤姫となって大奥の頂点「御台所(みだいどころ)」に登り詰め、衰亡の危機にある徳川家のために尽力する。婚家に尽くす武家的な天璋院のねばり強い思いが、皇室の一員という意識から離れられない14代将軍家茂の正室「皇女和宮」を動かし、協力して徳川家の難局に対処していく。和宮をいじめた人物というイメージを書き換えた。

 畑尚子著『幕末の大奥』は史実から天璋院像を描く。幕臣の大久保一翁は、篤姫や和宮に仕える田安慶頼が扱いにくいと日記でこぼした。「元凶がある。それが天璋院だ……好き嫌いが激しく大変扱いにくい。自分でうまくいかないと静寛院宮様(和宮)を動員する」。自分の判断で行動したが、自己主張と上昇志向が強く、見えっ張り。御台所に決まった時は「小躍りしたかもしれない」とみる。

 開国、大政奉還から戊辰戦争、日本が揺れた時代だった。薩摩側の視点を軸に描いたのが、徳永和喜著『天璋院篤姫 徳川家を護(まも)った将軍御台所』。薩摩に嫁いだ将軍の養女「竹姫」に始まる両家の関係や、近代工業を育て教育に力を入れた名君斉彬(なりあきら)の政策なども詳述する。天璋院の周辺では、斉彬の盟友でもある福井の松平春嶽や水戸の徳川斉昭(なりあき)ら、数々の大名らも活躍した。八幡和郎著『江戸三〇〇藩 最後の藩主』は、そんな各藩の様子を網羅。幕府や朝廷との関係なども紹介した。当時の藩の動きが分かり、歴史がぐっと身近になる。

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