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自転車で走る メタボ解消のためだけでなく

[掲載]2008年04月20日
[評者]大上朝美

 地球にはエコ、人にはメタボ解消――この惑星の自転車は、いいことずくめである。そんな美点が、東京など、まず都会で評価され始めて久しい。もっとも、日本の道路は、構造も法律も習慣も、先進国の中ではいまだ自転車に非常に冷たいのが現状だ。

 『自転車をめぐる冒険』は、自転車で通勤する人=自転車ツーキニストとして発言・著作も数多い著者が、「この10年で環境は大いに変わった」と認めつつ、自転車に乗る側にも道路で迎える自動車の側にもある問題点を指摘。そのうえで、自転車通勤は「手段でなく生き方だ」と、熱く語る。

 50歳で出会った自転車が体形と体質、人生までも変えてくれたという『自転車三昧(ざんまい)』の著者は、主婦の日常に便利ないわゆるママチャリ、折りたためるミニ型、スポーツ用途のロードバイクなど、目的に応じて使い分ける自転車生活を提案する。

 『走ル』は、自転車でひたすら走る過程を描いた小説だ。高校2年の夏休み明け、陸上部員の「僕」は、部活の練習の途中、ロードレーサーをふいに走らせ始める。何の旅の準備もなく、北へ、ついに青森へ。スピードは出るが、自分と家族、友人たちとの関係を等身大で見つめる移動手段は、バイクでもクルマでもない、自転車ならではだ。

 『YS―11、走る!』では、軽くて丈夫な折りたたみ自転車YS―11を開発した技術者が、挑戦の日々を振り返る。団塊の世代の一人である著者は、国産旅客機の名機といわれたYS―11に魅せられてその製造会社に入り、会社が解散した後はトヨタで、そして起業した現在の会社で、航空機の技術を自動車に、自転車に生かしてきた。「ものを作る」ことの魅力と奥深さを思わずにはいられない。

 風薫る季節の到来。自転車を転がしたくなってきた。

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