[掲載]2008年6月1日
じめじめした季節こそ風呂で気分転換。たっぷりのお湯に手足を伸ばすだけではない意外な入浴の歴史を知れば、思いこみのあかもすっきり落とせそう。
『風呂と日本人』は、サウナ風の蒸し風呂こそ世界一の風呂好きとも呼ばれる日本人の風呂の主流だったと説く。たっぷりのお湯につかる方式が定着したのは銭湯では江戸中期以降、家庭風呂では明治以降であったという。一方、シダなどを燃やし熱くなった岩穴の空気の中に入る熱気浴や、小屋の中で熱した石に水をかける蒸気浴など、各地の石風呂(蒸し風呂)を訪れ、史料とともに石風呂の使われた地域と時代の広がりを検証していく。
この石風呂の起源は、朝鮮半島、さらにユーラシア大陸の北部にさかのぼる可能性が強いという著者の問題意識に重なるのが、ロシアの蒸し風呂についての論文集である『風呂とペチカ』。家の中のペチカ(大きなかまど)に入って蒸気浴をする習慣や風呂小屋の変化をたどり、ロシア式の風呂の起源を5人の研究者が探っている。また、風呂が妖怪に結びつく不浄な場所という言い伝えや民間療法も紹介され、民衆文化とのつながりの深さが見えてくる。
お湯につかることだけではなく、お寺や名所を散策することも含めて温泉地の治癒力が発揮されると説くのは『温泉教授・松田忠徳の古湯を歩く』。日本の温泉文化の隆盛を徳川家康以降だとした『江戸の温泉学』の著者が、ガイドブックの形式をとりながら日本人の精神性を映した温泉を紹介していく。
読む銭湯ともいえるのが『踏切みやげ』。あちこちの踏切を見に行くことをテーマにしたエッセー集で、降りたことのない駅を出て、初めての商店街でおかずを買い、銭湯に入ってさっぱりして帰る、というのんびりした取材が反映され、そこここにのどかな銭湯が顔をのぞかせている。
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