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江戸の庶民 太平の世をしたたかにパワフルに

[掲載]2008年8月31日

  • [評者]西秀治

 江戸ブームは健在のようだ。「江戸文化歴史検定」は今年で3回目を迎え、受ける人は世代や男女を問わないという。ドラマ「篤姫」の人気もあってか、江戸関連の書物を集めた棚を設けた書店もある。「庶民」に焦点をあてた本を探してみた。

 「江戸は噛(か)めば噛むほど味がある」。こんな「まえがき」で始まるのが『江戸は美味い』。著者が「職人は税金を取られていない」と解説すると、対談相手のビートたけしが「えっ、取られてないんだ」と驚く様がおかしい。吉原のガイドブック「吉原細見」は現在なら情報誌の「ぴあ」で、瓦版はワイドショーだったという。著者と18人との対談なので、18通りの味わいが楽しめる。

 『江戸の御触書』によると、「〜してはいけません」という禁令が多かったという。「大酒を飲むな」「初物は売るのも買うのも厳罰」「変な格好をするな」「男女混浴すべからず」といった具合だ。江戸庶民のしたたかなパワーとお上とのいたちごっこが垣間見えて楽しい。

 酒席を盛り上げる会話のネタ本になりそうなのが『なぜ、江戸の庶民は時間に正確だったのか?』。ネタの数々は、例えば「一心太助は江戸っ子ではない」「暖簾(のれん)が汚れているすし屋ほど繁盛店」「江戸にもあったカラオケ教室」「鍋料理の具に白菜はない」「新撰組の衣装はオーダーメードで幕末レートで換算すると約20万円」。読破すれば、時代劇のウソもばっちり見破れる?

 『絵が語る 知らなかった江戸のくらし 庶民の巻』は、マンションみたいな2階建ての長屋、後架(こうか)(トイレ)で用を足す姿、そろばんを持って勉強中の農民、混浴の銭湯、心中で水死した男女の引き揚げのようすなど307点を紹介している。絵を見て納得、文章で合点。そんな本だ。

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