[掲載]2008年11月9日
米国のサブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)問題に端を発した金融危機は、米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)を機に一気に世界に広がっている。危機の原因や影響を分析する本が、揺らぐ金融大国アメリカの深層に鋭く迫っている。
『ソロスは警告する』は、「崩壊しつつある住宅バブルにすっぽり覆いかぶさるようにして進行中なのが、もっとずっと大きなバブル、いわば超バブルの終結局面だ」と指摘。「超(スーパー)バブル」は、(1)際限のない信用膨張(2)金融市場のグローバル化(3)金融規制の撤廃という三つのトレンドにより、80年代に始まった、と分析し、サブプライム危機は、超バブルの崩壊のスイッチを入れた引き金にすぎない、と主張。現在、「大恐慌以来初めて、国際金融システムは正真正銘のメルトダウン一歩手前」と警告する。
『世界金融危機』は、現在は、資産価格の急落(資産デフレ)と資源価格の高騰(資源インフレ)という対照的な現象が同時進行する異常事態が起きていると指摘。米連邦準備制度理事会は資源インフレを警戒して、思い切った金融緩和政策をとれず、信用収縮は一層加速する、と予想する。
『反米経済』は、米国経済が大不況に陥ったとしても、世界経済全体が壊滅的な打撃を受ける可能性は低いと予測。根拠として、世界経済に占める米国の相対的な地位の低下を挙げる。今回の危機は「米国一極集中時代の終焉(しゅうえん)」と「多極化時代の到来」を告げる出来事だとして、「米国離れ」しなければ日本は米国経済の衰退にまきこまれてしまうと警告する。
リーマン破綻より前の9月上旬に発売された『恐慌前夜』は、「アメリカでこれから30社ぐらい、大銀行、大証券会社……が潰(つぶ)れる」と予測。「来年、再来年までには消えてなくなる」金融機関としてリーマンなど数社の実名を挙げていた。
著者:ジョージ・ソロス・松藤 民輔 (解説)
出版社:講談社 価格:¥ 1,680
著者:金子 勝・アンドリュー・デウィット
出版社:岩波書店 価格:¥ 504
著者:門倉 貴史
出版社:PHP研究所 価格:¥ 1,575
著者:副島 隆彦
出版社:祥伝社 価格:¥ 1,680