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パレスチナ問題 「共存」を妨げる根源を考える

[掲載]2009年2月1日

  • [評者]依田彰

 イスラエルが建国されて60年。ガザ攻撃における同国の戦争犯罪が指摘されるいま、かくも不条理な破壊と犠牲を強いる「パレスチナ問題」とは何か。その疑問に応える本が数多く出版されている。

 『収奪のポリティックス』は、英仏の植民地主義とバルフォア宣言に起因するパレスチナ民族への「残酷かつ暴力的」な「国外追放と収奪」の歴史を踏まえ、ユダヤ人だけがイスラエル国民になれるとする人種差別的な「帰還法」と入植による「際限ない領土拡大」の不正義を問う。また抵抗の論理を示し、誰もが「自分の意見を公言する、不正は不正と言う……責任を回避すべきではない」と説く。

 だが現状は以前にも増して悪化の一途をたどる。『占領ノート』は、ヨルダン川西岸地区に暮らすパレスチナ人を06年に訪ね、増設が続く「隔離壁」で生活を寸断され、イスラエル軍の監視と入植者の侮蔑(ぶべつ)・暴力による「二重の占領」に苦しむ民衆の姿を伝える。ここでは、居続けることだけが抵抗の証しだ。93年の「オスロ合意」以後、穏健派ファタハではなく、イスラム過激派ハマスが支持される理由もうかがえる。ユダヤ系ロビイストの圧力が強大な米国のカーター元大統領も、『カーター、パレスチナを語る』の中で「南アフリカよりもひどい」とイスラエルの「アパルトヘイト」政策を批判した。

 そんな中、対等な「共存」を探る地道な試みも行われている。『バレンボイム音楽論』は、サイードと共にアラブ諸国とイスラエルの音楽家による混成オーケストラを作り、パレスチナでのコンサートを奇跡的に実現させた巨匠が、「音楽には言葉を超える力がある」「音楽を通じて、私たちは敵意を追い払うのだ」と平和実現への「夢」を訴える。

 中東和平を左右する米国。人権と平等を重視するオバマ新政権の手腕に注目したい。

表紙画像

収奪のポリティックス

著者:エドワード・W・サイード

出版社:エヌティティ出版   価格:¥ 5,040

表紙画像

占領ノート―一ユダヤ人が見たパレスチナの生活

著者:エリック アザン

出版社:現代企画室   価格:¥ 1,575

表紙画像

バレンボイム音楽論──対話と共存のフーガ

著者:ダニエル バレンボイム

出版社:アルテスパブリッシング   価格:¥ 2,520

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