一生かかっても解けないような「公案」(禅の設問)を夏目漱石は『門』の中で、私たちに投げかけている。 誰にも言えない不安に苛(さいな)まれる主人公野中宗助は、救いを鎌倉の禅寺に求………[記事全文]
[掲載]2009年3月29日
正岡子規さんの病床日記『仰臥漫録(ぎょうがまんろく)』ほど、私の眼(め)から見事にウロコを剥(は)ぎとってくれた本はない。 “ウロコ”とは何か。私と同じ余命1年半と宣告された癌………[記事全文]
[掲載]2009年3月22日
人にとって大切な本は、人生最終の帰結である“死”を納得させてくれる本だと私は思っている。 50歳のとき、突如として病気の集中豪雨に襲われた。心筋梗塞(こうそく)、胃潰瘍(かいよ………[記事全文]
[掲載]2009年3月15日
日曜の朝、父と慶二郎伯父が新聞小説を前に話していた。 「兄さん、大阪人は挨拶(あいさつ)代わりに儲(もう)かりまっか、と言うといわれているが、あたしは聞いたことはないね。生粋の………[記事全文]
[掲載]2009年3月8日
上野駅前、柊元(くきもと)旅館の番頭生野次平は、この日三組の団体客を世話し、仕舞湯につかってうつらうつらしていると、女が膝(ひざ)をつねった。女は薄紅色の貝殻のような耳朶(みみた………[記事全文]
[掲載]2009年3月1日
1月に誕生したオバマ政権は、「テロとの戦い」の主戦場をアフガニスタンと位置付け、米軍を増派する方針だという。テロとの戦い。本書は、03年のイラク戦争に「動員」された貧困層の若者た………[記事全文]
[掲載]2009年2月22日
1月末、フランスでは雇用の維持などを求めてゼネストが行われ、200万人規模のデモが街をにぎわした。まるで06年の「CPE」反対運動のような光景が再び現れた。 『フランス ジュネ………[記事全文]
[掲載]2009年2月15日
人生の持ち時間は限られているのだから、同じ本を何度も読むのは得策ではないと思うが、この期に及んであれもこれもと目を泳がせることもない。慌てず騒がず悠然と構えて好きな文章を繰り返し………[記事全文]
[掲載]2009年2月8日
丸谷才一はいつも悠然としている。どんと腰が据わっている。その開き直っているようなところがちょっと不良っぽい。優れた作家に無頼な面があるのは当然だが、この人の場合は特別なタイプだと………[記事全文]
[掲載]2009年2月1日
人生の中で影響を受けた本というのは多少あるけれど、脳天をぶち割られたといえばこれしかない。 この本と出会ったのは私が17歳の時、寺山修司が死んだ2カ月後のことだった。彼の人とな………[記事全文]
[掲載]2009年1月25日
本を選ぶ時は直感で気になったものを買うのだが、その時読まずにしばらくしてから読むということがよくある。別に忙しくて読めないわけでも、買ったはいいが興味を失ったわけでもない。ただ、………[記事全文]
[掲載]2009年1月18日
レストランに入る。コース料理を注文する。一つ一つ料理が出てくる。なんだか凝った料理。食べられるが、何の味か分からない。そのうち突然、生の野菜が積み上げられる。かと思えば、次は料理………[記事全文]
[掲載]2009年1月11日
人の脳は、自分にとって心地よい音、色、かたちなどの記憶を蓄えている。そんなものがいつ、どのようにつくられてきたのか知らないが、あるときまで私も自分が好きな音楽や絵画、小説、風景な………[記事全文]
[掲載]2009年1月4日