観(み)てから読み、読んでからまた観るのがお勧めだ。大ヒットした映画「踊る大捜査線」シリーズ。「“室井さん、命令してくれ! おれはあんたの命令を聞く!”と叫ぶ青島のこの台詞(せりふ)はリーダーとフォロワーの理想的な関係を示しているな」とか、「この場面は機能不全に陥った捜査本部のリーダーが代わり、官僚制組織が自律型組織に転換した瞬間だ」などと、組織論の視点から楽しめるようになるのが、この映画を題材に“真面目(まじめ)に経営学した”本書の第一の面白さだ。
メーンテーマは、個人と組織、現場と上層部といった、とかく対立しがちな関係をどうとらえるか。「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ」「事件に大きいも小さいもない」等々、印象に残る20の台詞を挙げ、個人のモチベーション、エンパワーメント(権限委譲と支援)、リーダーシップなどをキーワードにして、組織論の第一人者である著者の解釈と理想像が示される。
このシリーズが人気を博したのは、描かれるリアリティーの一つ一つに、「こういうのってうちの会社にもある」と、誰もが自身の体験を投影したからだ。経営書などあまり手にしない読者も、映画の画面を我が身に置き換え、自分ならどの役回りでどう行動するか、想像しながら読むと、組織論を“真面目に楽しむ”ことができる。