はがき2枚分にあたるA5判サイズの写真集。49人の写真家からなる写真点数は全部で140ほど。8作品が選ばれた人もいれば、1点だけの人もいる。
サッカー関連の写真にボールは不可欠だし、ゴールポストや人びとの歓喜と悲嘆の表情も付きもの。だがこの写真集だけはどうも一筋縄ではいかないようだ。
少年たちのフリーキックの写真では、夢中になって遊ぶ光景とは裏腹、キーパーの背後で黒煙が朦々(もうもう)と木立から立ちこめている。試合の情報よりも詩情。「サッカーのある風景」的なものが多くを占めている。
最古の作品は1933年。最新は2001年ということになる。前者はカルティエ=ブレッソンのマドリードでのもので、後者は01年にスーザン・マイゼラスがニューヨークで撮った女子サッカー試合のパノラマサイズのもの。つまりフットボールをめぐる68年分の写真表現が「マグナム」の会員たちによって試みられたことになる。マグナムは47年創設。ロバート・キャパによる設立主唱で知られる世界的に著名な写真家集団である。
唯一この本で気になるのは日本人サポーターについての記述。序文の書き手サイモン・クーパーに自意識の強さをとやかくいわれるほどのこともない。
価格も安く抑えられ、贈り物としても気が利いている。