約680万人と言われる「団塊の世代」(1947〜49年生まれ)は、07年から順次60歳代に入っていく。アメリカでもベビーブーマー世代の消費・投資行動が経済に多大な影響を与え続けてきたように、「巨大な人口の塊」がこの先何を欲していくのかを推測することは、多くのビジネスにとって非常に重要である。
本書では、既存の各種調査に加え、信託銀行の顧客を対象とした新たなアンケート(回答約3千人)も使って分析を行っている。センセーショナルな結論が導き出されているわけではないが、団塊世代の就業意欲、金融資産、住宅・不動産投資、消費嗜好(しこう)などを、中立的な視点で明瞭(めいりょう)に解説している。
マーケティング的には、今後のシニア市場を牽引(けんいん)していく「勝ち組団塊」を狙うべしということになるが、もともと団塊世代は30歳代まで世代内格差が小さかった。「一億総中流」を具現化していた世代であったという。しかし、バブル経済を経て格差や階層化が目立ち始めた。例えば、バブルを挟んだどの時期に住宅を購入したかによって、その後の住宅関連負債額は大きく異なることになる。
本書のようにある特定の世代の人生をマクロ的に追っていくと、政府の経済運営は、できるだけジェットコースターのような急変動を回避すべきであることが改めて実感される。