四月春爛漫(らんまん)、新生活の季節。店頭でなんとなく「!」と直感で衝動買いし、後悔中の読者は本書で自信を取り戻そう。人間には何かに出会ったとき、状況を「輪切り」にして断片的な観察から瞬間的かつ無意識のうちに判断できる認知力があり、論理的で体系的な分析などより、正しい判断ができる事例を数々示す。
例えば、アメリカ軍がイラク戦争を想定したとおぼしき軍事演習。スパコンを使い、「史上最強」の意思決定ツールを与えられたチームと、歴戦の司令官が経験と直感で瞬時に状況を見きわめて指揮した仮想敵チームが戦い、最強チーム側がいとも簡単に惨敗した。以降、敵側に縛りがかけられた話は滑稽(こっけい)でもある。
著者は米ニューヨーカー誌の記者。原題は『blink(ひらめき)』。五感を超えた力という意味を込めて邦題は『第1感』と命名している。心理学では「適応性無意識」と呼ばれるこの第1感は、しかし、「裏切る」こともあるようだ。女性が理想とする異性の性格と一瞬で引かれる異性の性格とが一致しなかった実験などが興味深い。ここで読者は再び、自分の衝動買いに自信を失いかけるが心配は無用。プロの勘が優れているように、第1感は経験と熱意により鍛えられることも示される。
全米で50週連続ベストセラー。論理的思考(ロジカルシンキング)の“総本山”のような国で、超論理の人間力に関心が高まっているところも面白い。