「日々成長している僕を、キチンと評価してくれる女性は必ずいる。いまはまだ、そういう目の肥えた女性に出逢(であ)えてないだけ」
「僕の潜在能力を考えれば、40歳で1200万円は稼いでいてしかるべき。早く転職したい」
本書のいたるところに紹介された発言に思わず「はぁ?」。どこのどなたが言っているのかといえば、著者が「おひとりさまマーケット」の調査で取材した30代、40代の独身男性。可処分所得が高く、自由時間はすべて自分のために使う彼らを「独身王子」と命名し、その生態をモテ系、ナルシー系、やんちゃ系など五つの系統に分類している。
彼らの年収は300万円台から2000万円台と幅広いが、共通するのは、徹底した自分へのナルシシズム。六本木ヒルズの自宅をモノトーンのインテリアで決めている投資顧問会社勤務、43歳は「ピンクの洋服を着た女性が部屋に入ってくると、それだけでイライラする」と、きっぱり口走っている。
60人のホンネの集積はそれなりに面白いが、著者の分析に『負け犬の遠吠(とおぼ)え』のような鋭さはない。結婚にもさして執着することのない彼らは、新たな価値観の開拓者ではなく「消費者」の位置にただとどまるのみ。しかもその発言の臆面(おくめん)のなさは、バブル時代に傲慢(ごうまん)をかました女性の後追いでしかない。ま、会えばみな、かわいいのだろうね。