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ちょいモテVS.ちょいキモ [著]フェルディナント・ヤマグチ、渡辺和博

[掲載]2006年06月11日
[評者]清野由美(ジャーナリスト)

 人は複雑な社会を単純に二分することが好きだ。近年は「勝ち組」「負け組」で、20余年前は(金)(ビ)だった。その(金)(ビ)が装いも新たに(モ)(キ)として登場。勝ち組の中での「勝ち組」が(モ)、勝ち組にいながら「負け組」が(キ)と、分類に複雑さが加わった。ちなみに(モ)が「ちょいモテ」、(キ)が「ちょいキモ」。商社、広告代理店、テレビ局など九つの勝ち組職種を挙げ、内部にいる人間の行動様式で、勝ち負け序列を論じる。

 たとえば外資系金融。向島の高級料亭に通う(モ)がハマっているのは、支度部屋で賄い料理を食べること。対して(キ)が走る先は、ワンルームマンション投資。(モ)を旦那(だんな)気分にさせる料亭は、しっかりオモテの料金を請求書に付け、マンションは2年後には半値に下がる。と、いずれもおバカな落ちでは同じなのだが、それぞれのディテールがいかにもありそうで、笑わせてくれる。

 喧伝(けんでん)される格差社会について「昔から、厳然とあった」(ヤマグチ)、「うん。もともとリッチだった人が、より目立つようになっただけ」(渡辺)と、ふたりの認識は冷めている。その上で、どうでもいいような差異をことさらに描いて、格差、格差と騒ぐ世間を笑う。そこに、このふざけた本の批評性がある。

 で、十字軍を模した被(かぶ)り物顔写真のヤマグチ。「半導体部門のマーケットアナリスト」という著者が、自分を(モ)(キ)いずれかに描くのか、読んでみたい。


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    書籍詳細

    表紙画像

    ちょいモテvs.ちょいキモ

    • 著者: 渡辺 和博・フェルディナント・ヤマグチ
    • 出版社: 文藝春秋
    • ISBN: 4163682104
    • 価格: ¥ 1,250

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