第133回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考委員会が14日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞に中村文則(ふみのり)さん(27)の「土の中の子供」(新潮4月号)が、直木賞に朱川湊人(しゅかわ・みなと)さん(42)の「花まんま」(文芸春秋)が選ばれた。副賞は各100万円。贈呈式は8月19日午後6時から、東京・丸の内の東京会館で行われる。
芥川賞の中村さんは愛知県生まれ。福島大卒。02年、「銃」で新潮新人賞を受けてデビュー。同作品と、野間文芸新人賞を受けた03年の「遮光」で芥川賞候補になった。同県東海市在住。
受賞作は、幼少時に育ての親の虐待で土中に埋められたタクシー運転手が主人公。成長してからも死への欲求がやまない生活を、同じような境遇にある女性とのかかわりとともに描いていく。
中村さんは会見で「予想していなかったのでたいへん驚いている。自分なりにいいものができたと思っていたが、まさか芥川賞をいただけるとは」と語った。芥川賞選考委員の高樹のぶ子さんは「選考委員として格闘を迫られるような作品だった。観念に血や力を与えて小説を作ろうとする試みは今の時代に逆に新鮮だ」と評した。
直木賞の朱川さんは大阪府生まれ。慶応大卒。02年の「フクロウ男」がオール読物推理小説新人賞を受賞。03年、「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞。同年の「都市伝説セピア」が直木賞候補になった。東京都足立区在住。 受賞作は大阪の路地裏を舞台に、怪奇色をにじませながら子どもたちの心を丁寧に描く短編集。
朱川さんは会見で「最初の本が出て2年ちょっと。こんなに大きな賞をもらい、頭の中が真っ白です。妻も子も喜んでいると思う」と語った。直木賞選考委員の北方謙三さんは「現在の怪談を新しい説話として書き上げた。在日朝鮮人と被差別部落の問題についても決意を持って書いている」と評価した。