中央官庁の30代前半のキャリア官僚21人が霞が関の改革案をまとめ、実名で「霞ケ関構造改革・プロジェクトK」(東洋経済新報社)を出版する。縦割り、省益至上主義といった弊害を自己批判しつつ、官邸直結の「総合戦略本部」設置やキャリア制度廃止を提言する。政界、経済界で世代交代が進むなか、「官界」でも若手による改革の波が起き始めたようだ。
この提言は、97年の採用時の研修で一緒だったメンバーを中心に結成した「新しい霞ケ関を創る若手の会」が作った。法務省を除く府・省から参加した課長補佐クラスが03年9月から約2年間、週末や平日夜に50回以上勉強会を重ねた。「K」には「霞が関・改革・公務員」の意味を込めた。
提言は、国際会議で狙いが異なる日本の省庁同士が「落としどころ」を探る結果、内容が不明確な声明を発表してしまう場合や、政府の各種の総合対策も各省の政策を「ホチキスで留める」だけの例が多い、と指摘。
改善策として、国の総合戦略を作り、省庁間の対立を仕切る官邸直結の「総合戦略本部」設置を提言した。この本部が最も国益にかなう政策を判断し、内閣が実行を決断する形を想定する。各省への勧告権や幹部の人事権も持たせ、出身省庁の利害を代表しないよう、省庁から「片道切符」で異動させる案も提言した。
人事面では、異動後数週間で政府代表として国際会議に臨む例があるなど、専門家が育たず、省庁間や業界との利益調整のうまい人が評価されている現状を指摘した。
キャリア制度を廃止したうえで、「管理能力」のある人は管理職に登用し、「政策立案能力」を持つ人は専門化して給与で優遇する制度を提言。天下りを禁止し、退職後は「政策アドバイザー」として市町村に派遣する制度を提案する。
今後の課題は実現性だが、「若手の会」代表で資源エネルギー庁石油・天然ガス課の朝比奈一郎課長補佐(32)は「民間企業と同じく、『顧客』イコール『国民』の改革運動を目指した。霞が関改革を進める小泉首相に直接提案できればありがたい」と話す。