ドイツのノーベル賞作家、ギュンター・グラス氏(78)が第2次大戦時、ナチスの武装親衛隊に所属していたと11日、独有力紙フランクフルター・アルゲマイネ(電子版)が報じた。グラス氏は鋭い社会風刺や政治評論、平和運動への深いかかわりで知られ、今後波紋を呼びそうだ。
同紙によると、グラス氏は今年9月に出版予定の自伝の中で武装親衛隊に所属していたことを告白しているという。同紙のインタビューに対し、グラス氏は「長い沈黙をへて自伝を記すことにした。(所属した事実を)はき出さなければならなくなった。自分自身に強いた」と述べた。当時は罪悪感を感じなかったが「戦後は恥を感じ、苦しんできた」と打ち明けた。所属したのは17歳の時で、44年末か45年初めとみられる。同隊からの「召喚だった」と述べ、自発的ではなかったことを強調した。武装親衛隊は39年ごろ発足。親衛隊(SS)の中で強大な武力を保持するナチス最強の部隊と称された。ヒトラーの侵略行為を実現する役割を果たし、国防軍とともに戦争終結まで戦った。
グラス氏は、現在はポーランド領のグダニスク(旧ダンチヒ)生まれ。3歳で成長が止まった少年の目でナチス台頭から敗戦の混乱期を描いた小説「ブリキの太鼓」や「はてしなき荒野」などで知られる。99年にノーベル文学賞受賞。平和運動にもかかわりイラク戦争に反対した。