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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>出版ニュース> 記事 出版ニュース 向田邦子「父の詫び状」生原稿全編公開へ 世田谷文学館2007年04月08日 直木賞作家で脚本家の向田邦子(1929―81)の初エッセー集「父の詫(わ)び状」の生原稿全編が保管されていた。世田谷文学館(世田谷区南烏山1丁目)で24日から5月27日まで開く向田邦子展で初公開される。 保管されていたのは、雑誌「銀座百点」の依頼で、76年から2年半にわたって連載したエッセー24編で、原稿用紙384枚。明治生まれの父親を中心とした戦前中流家庭の姿を生き生きと描き出している。78年に1冊の本にまとめられた。 生原稿からは、「冬の玄関」というエッセーが出版にあたって「父の詫び状」と改題し、本の表題にしたことや、加筆、修正を加え、順序も入れ替えて出版した様子もわかる。 16年前の展示会で数編、公開されたことがあったが、全編が残っているのは知られていなかった。同文学館が企画展を前に、雑誌を発行する銀座百店会に問い合わせたところ、年度ごとに茶封筒計3枚に入って生原稿がすべて保管されていたのがわかった。 この連載を始める前年、乳がんの手術をし、このときの輸血が原因で、血清肝炎にかかり、当時、向田の右手は利かなくなっていたという。再発の不安の中で、「のんきな遺言状を書いて置こうかな」と引き受けた復帰第一弾の仕事だった。 向田は、「父の詫び状」のあとがきで「子どもの頃を思い出し思い出しして書いているうちに、気持ちも右手も柔らかくなってくるのが判(わか)った」「はじめの一年、『癌(がん)』と『死』の字が目に飛び込んだと書いたが、二年目に入ると、『生』という字が心に沁(し)みた」などと回想している。 同文学館の瀬川ゆき学芸員は「利き手が使えない中で、思いのたけをぶつけるような勢いのある筆致で埋められている。ペン先からほとばしる表現者の息づかいを感じ取ってほしい」と話している。
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