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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>出版ニュース> 記事 出版ニュース 鶴見俊輔さん、新著でプラグマティズムを再考2007年06月24日 哲学者の鶴見俊輔さんが85歳の誕生日を迎える25日、新著『たまたま、この世界に生まれて――半世紀後の「アメリカ哲学」講義』(編集グループSURE)を出す。10代に米ハーバード大で学び、初著『アメリカ哲学』(1950年)で著した「プラグマティズム」の思索を振り返り、その展望を探る。鶴見さんはプラグマティズムを、古来、その土地に根付いた暮らしの知恵の中に見いだしていた。
プラグマティズムは、観念は行動や経験に移せないと意味がないとする考え方で、その思想は1870年ごろ、米マサチューセッツ州ケンブリッジでチャールズ・パース、ウィリアム・ジェームズらによる「形而上学(けいじじょうがく)クラブ」で育まれた。 鶴見さんは、プラグマティズムの影響を濃く受けた日本人として、ジェームズを深く読んだ夏目漱石、柳宗悦や、「小日本主義」の石橋湛山らを挙げる。一方、大学の哲学科では浸透しなかったと語る。「大学が箱モノとなり、その型が狭すぎてプラグマティズムの入る余地がなかった」のが要因という。「哲学史の枠があって、外れた哲学者は入れない。流動する思想を考えられない」と批判する。 そして、プラグマティズムは、実は大学の学問の外、古来の「土法」にあったとみている。 山田慶兒・龍谷大客員教授(科学史)によれば、「土法」は中国語に由来する言葉で、「その土地の自然や風習、社会組織などと結びついた独特の技術、土着的な方法」を指す。 新著では、例えば雪の種類に詳しい北欧のラップランドの人々の土法にプラグマティズムをみる。彼らの雪の概念は、学者の分類ではなく、実際の暮らしに結びついていく。鶴見さんは「土法の中のプラグマティズムを掘り返し、日常語の中から考え直す」ことを提案している。 ◇ 鶴見さんはハーバード大卒後、日米交換船で帰国。その後は米国に一度も行っていない。 「ハーバードにいたころ米国には多元性があった」が、太平洋戦争、ベトナム戦争、イラク戦争などを経ていま、「米国は自分たちの正義を力で押しつけるようになった」と憂慮する。「その帝国主義の一部分に、喜んで組み入れられる日本とはどうなのか。私は反対したい。『美しい国』日本の美しさは、ナチズムの美しさに似ている」 ◇ 新著は、雑誌「思想の科学」、『日米交換船』(新潮社)の編集・執筆などで旧知の作家黒川創さんが企画した。鶴見さんが昨年、黒川さんら30〜40代の7人と語り合った内容を対話式にまとめている。「アメリカ哲学、プラグマティズムは鶴見さんの土台となる仕事。その全体を通しての『再論』をお願いした」と黒川さんは話している。 直接販売のみ。送料・税込み2625円。書名と冊数を記入し、郵便払込用紙で00910―1―93863 編集グループSUREへ。問い合わせ先は、SURE(075・761・2391)。 ここから広告です 広告終わり この記事の関連情報出版ニュース バックナンバー
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