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値段は本屋さんが決めて… 値引きOK本、異例の出版

2009年7月9日

 新刊にもかかわらず、書店が自由に価格を決められる本が出版される。中堅のポット出版(本社・東京都渋谷区)が13日に発行する「本の現場」(永江朗著)だ。出版社が小売価格を書店に守らせる再販売価格維持制度(再販制)が常識の出版界で、「非再販」本は極めて珍しく、制度に一石を投じる試みだ。

 「本の現場」は、現在の出版事情を取材した書籍だ。その裏表紙には「非再販」「希望小売価格・1800円+税」とあり、書店は1800円以下でも売ることができる。書店の粗利は22〜23%とされることから、損が出ない範囲で値引きの可能性がある。理論的には、購入する読者が書店と値引きの交渉もできるという。

 ポット出版の沢辺均社長は「書店と読者に、本の価値をジャッジしてほしい。再販制度がなくても出版社は自立できることが望ましい」と話す。

 独占禁止法は製造業者が小売店に定価販売を強制することを禁じているが、新聞や書籍などの著作物に限り認めている。ただ、値引き販売は禁じてはいない。出版界は「出版物の価格の安定は文化の普及や学術の進展に寄与してきた」などとして再販制を維持してきた。

 書籍の流通に詳しい出版ニュース社の清田義昭代表は「新刊の単行本が非再販で発行されるのは極めて珍しい。出版不況で業界が揺れている中で、再販制のメリット、デメリットを考える問題提起といえる」と話している。(西秀治)

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