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〈本の舞台裏〉元教科書ブレーク中

[掲載]2009年11月1日

 学習指導要領の改訂にともない廃版となった高校教科書が一般読者向けの書籍として生まれ変わり、都内のターミナル駅の書店などでベストテンに入る売れ行きを示している。教科書の老舗(しにせ)、山川出版社の『もういちど読む山川日本史』と『もういちど読む山川世界史』だ。

 8月末の刊行から1カ月あまりでそれぞれ3万部を超え、現在、ともに4刷。『世界史』は5刷目を準備中で、「教科書の世界では異例のこと。反響が大きく、営業部も高揚しています」と版元も驚く。

 なぜ、売れているのか。書店の情報をもとにした同社の分析では、40〜50歳代のサラリーマンがまず反応した。続いて20〜10歳代に広がり、男性にも女性にも関心がもたれているというから、「懐かしさ」だけで売れているわけではなさそうだ。

 「日本は高度成長期から突き進んできたものの、情報が多いだけで上滑りしてきたように見えます。いまは確かなもの、信じられるものが求められる時代。自分の足元を見直し、共有の知ともいうべき教養に目が向いているのでは」(同社編集部長)

 両書はオリジナルの教科書を復刻するのではなく、新たな史実や学説をもとにリライトするなどして、読みやすいように再編集した。

 実はこれまで、歴史そのものの全体像、通史を一冊にまとめた歴史書はなかったのだという。同部長は、「でも教科書があったんです。多くの人が10年、20年かけて愚直に練り上げてきた教科書は、刻々と変化する世界の現在を読み解く実践的な書でもあります。知識の分量としても十分で、ここが日本人の教養レベル、常識なんだと思っています」と意気込んでいる。(依田彰)

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