2009年11月22日
姉の人生と母の介護を本にまとめた清水良子さん
4月に自殺したタレント清水由貴子さん(当時49)の妹、清水良子(よしこ)さん(42)が、母親の介護に尽くした姉の最期の日々を一冊の本にまとめた。うつ状態だった姉を支えきれなかったことを悔やみ、泣き暮らしてきたが、「姉と同じような介護者を、これ以上、死なせたくない」との思いから出版を決意した。
本は「介護うつ お姉ちゃん、なんで死んじゃったの?」(ブックマン社、税込み1470円)。
良子さんは1歳の時、父が病気で他界。以来、母の咲子さん(78)、姉の由貴子さんと3人で暮らしてきた。
由貴子さんの「うつ」に気づいたのは、母の糖尿病が悪化した05年ごろ。「外では笑顔でも、私の前だと涙もろく、後ろ向きな日が増えた」
母は視力が衰えて転びやすくなり、娘2人が交代で介護した。良子さんはすし屋で勤め続けたが、由貴子さんは07年に芸能界を引退、介護に専念するようになった。
そのころ由貴子さんは「食事を食べてくれない。おいしくないのかも」「5種類もおむつを試したが、かゆがる」などと悩みを深めていた。昨年夏、母が家の中で転んで骨折すると、「私が家にいたのに」と自分を責めた。
昨年末から母の通ったデイケアセンターとの連絡帳も残っている。「トイレのお世話……申し訳ありません」
徐々に由貴子さんの記入は減り、最後はセンター側からの連絡ばかりになった。
自殺する1週間ほど前。訪ねてきたケアマネジャーらが「立つ練習をするため、家の壁に手すりをつけてはどうか」と提案。「今はそのつもりはない」と由貴子さん。後で意見を求められた良子さんが「立つ練習は大事。素人とは違う専門家の意見だし、駄目なら外せばいい」と答えた。「みんなと同じこと言うんだ」。寂しげにつぶやいた表情が頭から離れない。
今年4月、由貴子さんは車いすの母を連れて静岡県の父の墓前に行き、母を残して一人、自殺した。携帯電話に未送信のメールが残っていた。「母ちゃんを連れていく事許して下さい 天国で良子の幸せ見守っています」
姉は足腰の弱った母につらい訓練をさせたくなかったのか。「立つ練習は大事」という自分の「正論」が、悩みに押しつぶされそうだった姉を自殺に追いやったのか――。悔いが残る。
母は今、病院で介護を受けている。「介護の現場には、介護される人と介護者の2者だけでなく、介護者を見守る目が必要だった。私はその目になれなかった」。この本が介護者のSOSを見逃さないためのヒントになれば、という。(寺下真理加)
著者:清水 良子
出版社:ブックマン社 価格:¥ 1,470
ここから広告です
広告終わり