[掲載]2009年11月15日
夏川草介のデビュー作『神様のカルテ』(小学館・1260円)が、発売2カ月で10万部を突破した。作者は信州大学卒業後、長野県で地域医療に従事する現役の医者。自らの経験をベースに、医師、看護師、患者たちの心の交流を時にユーモラスに、時に切なく描いた小説だ。
初版2万部で発売。10日後に2刷3万部、9月末に3刷3万部、そして10月の4刷で大台に乗った。無名の新人のデビュー作としては極めて異例の売れ行きだ。
プロモーション担当はマーケティング局書籍宣伝課の備前島幹人さん。発売3カ月前にゲラを読み、販促活動を仕掛けてきた。「テーマは重いのにユーモアがある。ヒューマンドラマとして幅広い層に受け入れられる確信があった」という。
発売前に配るプルーフ(仮とじ本)を通常の3倍つくり書店に届けた。「小学館が会社として推していると誠意ある形で示すため」、作品を読んだ社員の感想文もつけた。
注文書には通常よりも大きめのコメント欄を用意。自分の父親の闘病の思い出、地域医療に対するコメントなど、書店員さんからも真摯(しんし)な感想が多数届いた。「まったくの新人なので書店員さんのサポートは絶対必要。でも、返信されたコメントを読んで必ず成功すると思った」
販売部と連動し、東京と長野で販促会を開催。“カリスマ書店員”と呼ばれる人たちに「発売当初から本を目立たせて下さい」という「一方的なわがまま」を伝えた。人となりを知ってもらうために著者にも販促会に参加してもらい、あいさつしてもらった。その上で各書店の要望を聞き、売り場に合わせたポスターやパネルを小ロットでつくった。「『オンデマンド宣伝』です(笑)」
「地元本」と認識してもらえたことで、長野から火がついた。「信州大学の影響で、地元の医者の本を応援してくれる土壌があった」ことも幸いした。既に映像化の話も持ち込まれているという。(竹端直樹)
著者:夏川 草介
出版社:小学館 価格:¥ 1,260
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